Janis Joplin / ジャニス・ジョプリン

アーティスト紹介

janis joplin


ジャニス・ジョプリンは、伝説のブルース・シンガーであり、最初の女性ロック・シンガーといっても過言ではないだろう。

彼女は1943年1月19日、テキサス州に生まれ、23歳でサンフランシスコに移住、そこでビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー(以下、BB&HCと略す)に誘われて、ヴォーカリストとして加入。彼女を加えたBB&HCは、67年、「モンタレー・ポップ・フェスティバル」に出演、身体を震わせて歌うジャニス・ジョプリンに将来性を感じたレコード会社と契約し、68年にリリースした「チープ・スリル」というライブアルバムは全米チャートで8週連続の1位に輝いた。

なぜバンドではなくジャニス・ジョプリンの個人での紹介かというと、それは単純に、圧倒的な知名度があるからである。ジャニス・ジョプリンの名は聞いたことがあっても、BB&HCという名は知らない人が多いだろう。そして実際に、彼女はバンドに恵まれなかったという評価があるほど、彼女との実力や将来性の差がそこにはあったのである。

その評価は結局、バンドと彼女を引き離すことになるが、その間に発表された2枚のアルバム「ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー(邦題:ファースト・レコーディング)」「チープ・スリル」からは、「Piece Of My Heart(邦題:心のかけら)」や「Summer Time」といった名曲が世に送り出された。

彼女は次にコズミック・ブルース・バンドを結成し、アルバム「I Got Dem Ol'Kosmic Blues Again(邦題:コズミック・ブルースを歌う)」を発表するも、すぐに解散。

そして1970年、フル・ティルト・ブギーというバンドで「Pearl」という、のちに彼女の最高の1作とされるアルバムの製作にはいる。しかし、完成間近という1970年10月4日、彼女はモーテルの一室で死体となって発見されるのである。ヘロインの多量摂取による孤独な死(享年27歳)であった。しかしそれこそが、彼女を伝説のシンガーとする最も大きなエピソードであったのかもしれない。

ラスト・アルバム、「Pearl」でまだボーカルが取り終えていなかった曲、そのタイトルは「生きながらブルースに葬られ」。結局インスト曲として発表されたこの曲のタイトルこそ、ジャニス・ジョプリンの生涯を一言で表しているような気がする。

ディスコグラフィー

< オリジナル >

  • Big Brother and The Holoding Company featuring Janis Joplin [ファースト・レコーディング](1966)←BB&HCでの1st
  • Cheap Thrills [チープ・スリル](1968)←BB&HCでの2nd
  • I Got Dem Ol'Kozmic Blues Again Mama! [コズミック・ブルースを歌う](1969)←Kozmic Blues Bandでのスタジオ録音
  • Pearl [パール](1970)←Full Tilt Boogieでのスタジオ録音にして、遺作。

< ベストなど(順不同) >

  • Joplin In Concert [ジョプリン・イン・コンサート]←ジャニスの死後2年を経て発売された、68年と70年のライヴ音源
  • Janis [伝説のロック・クイーン]←ドキュメンタリー映画「ジャニス」のサントラ盤
  • Farewell Song [白鳥の歌]←ジャニスの未発表セッションを集めたレア・テイク盤
  • Janis [ジャニス・ボックス・セット]←ベスト盤?だと思う 未確認
  • Janis Joplin with Big Brother & The Holding Company Live At Winterland '68←ライヴ盤
  • Box Of Pearls 〜The Janis Joplin Collection〜←オリジナルの4枚にボーナスCD1枚を加えた5枚組BOXセット
  • Greatest Hits←ベスト盤
  • The Essential Janis Joplin←ライヴを含めたベスト盤
  • Super Hits←2ヶ月期間生産限定版、ベスト
  • 18 essential songs [18の祈り〜ベスト・オブ・ジャニス]←ベスト盤
  • Cheaper Thrills [チーパー・スリル](1984)←実はBB&HCで最初に録音されたのがこれで、66年7月のものだそうだ。これも死後に発売となった。

もっと詳しく知るためのリンク集

管理人のオススメ曲

Summertime (Cheap Thrills)

“サマータイム(曲名)とは、ジョージ・ガーシュウィンの作曲したオペラ『ポーギーとベス』(1935年)でヒロインのベスが歌う子守唄。ポピュラー音楽においてもスタンダードナンバーとして広く親しまれる。(from Wikipedia)”

そういう曲なのだが、ジャニス・ジョプリンが歌うこの「サマータイム」はその元曲の原形をとどめないほどにアレンジされていて、そして凄く、良い。

ジャニス・ジョプリンを初めて聴くと言うのであれば、Pearlに入っている「Move Over(邦題:ジャニスの祈り)」とこの「Summertime」を迷わずオススメする。ロック史上に輝く伝説のロック・クイーン、ジャニス・ジョプリンの歌声に酔いしれて欲しい。

演奏は、ライヴ音源があれば聴いてみて欲しい。ひどい。ギターが自分の実力以上のことをやろうとしてて、ちゃんと弾けていない。でもジャニスが素晴らしく良いから、いいのである。


Piece Of My Heart (Cheap Thrills)

ブルースとロックの中間地点にいるかのような曲。叫ぶボーカルやそれに答えるコーラスなどが、ハードロックに通じているような気もするが、全体として雰囲気はブルース曲になりそうな感じ。

ラストのほうでサビが2回繰り返すところがあるが、その間に入っているジャニスの雄たけびが聴きどころ。


Try (just a little bit harder) (I Got Dem Ol'Kozmic Blues Again Mama!)

3枚目のアルバム、「コズミック・ブルースを歌う」からはこの曲をチョイス。

軽快で覚えやすいギターリフが良い。だけど結構構成は難しい。イントロの部分が4回ではなく5回なのだが、これはどうなんだろう・・・わざとなのか、誰かが入り忘れたからもう一回伸ばしたのか(笑)


Move Over (Pearl)

邦題:ジャニスの祈り。おそらくジャニスの代表曲として一般にあげられるのはこの曲であろう。

近年では松浦亜弥が出ていた午後の紅茶かなんかのCMでも使われていたが、昔からテレビではよく流れる曲なので、聴いたことがある人もかなり多いはずである。

このpearlというアルバムの曲は本当に全て名曲で、これこそを名盤と評することができるのであろうが、やはりBB&HCの頃のCDよりはバンドのレベルも上がり、音源もしっかりしている。

ラストの方、だいたい3分30秒あたりでのピアノが非常にかっこいい。


Half Moon (Pearl)

曲順どおりに、Cry BabyやA Woman Left Lonelyもかっこいいのであるが、俺がこのアルバムの中でも一番好きな曲がこのHalf Moonである。

リフがかっこよく、ノリも明るくて楽しい。聴いていて元気になれる曲である。ラスト20秒くらいのジャニスのシャウトには鳥肌が立つ。


Buried Alive In The Blues (Pearl)

冒頭のアーティスト紹介でも触れたが、この曲(邦題:生きながらブルースに葬られ)は、ジャニスが死んでしまったことによりインストとしてアルバムに収録された曲である。

Aメロなどではキーボードが、おそらくジャニスが歌ったであろうボーカルラインを演奏してくれているし、それ以外の部分でも、なんとなくジャニスが歌ったらこうなるだろうなぁ、、みたいなものが想像できる。それを想像しながら聞くとまたこの曲の良さがわかってくる。


Mercedes Benz (Pearl)

この曲は逆に、ジャニスのアカペラである。しかも言っていることは「私にベンツを買ってくれ」。2番では「カラーテレビを買ってくれ」。

ボーカルだけでメロディ、リズム、曲の雰囲気を自由自在に歌い上げるところ、本当にジャニスはかっこいい。


Get It While You Can (Pearl)

名盤パールのラストを飾る曲。美しいロックバラードである。

アルバムを一枚聞き終わってこの曲にくると、なんともいえず悲しい気分になる。「もし彼女が死んでいなかったら、、、もっと彼女の歌が聴けたなら、、、今も生きていたとしたらどんな声であったのだろうか、、、」。

しかし、後に伝説と言われるような人は皆、短命である。これは仕方のないことなのであろうか。そういえば、ビリー・ジョエルの曲に「Only The Good Die Young」というのがあったなぁ。。。良いヤツは若くして死ぬ、かぁ。

(2006.5.10 kota)

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