Yes / イエス

バンド紹介

yes


イエスはプログレッシブ・ロックバンドの四天王の一つと言われる、プログレ界の大御所である。

キング・クリムゾンやピンク・フロイドとはまた違い、ボーカル、ジョン・アンダーソンの澄んだ歌声を生かした緻密な曲作りをしている。

イエスは他のプログレバンドと同様に、鬼のようなメンバーチェンジを繰り返し、常に成長してきた。オリジナルメンバーのドラマー、ビル・ブラッフォードはキング・クリムゾンへと引っこ抜かれてしまうし、ジョン・アンダーソンとクリス・スクワイアは不仲で有名で、イエスの本当のリーダーはどっちだ、というようなことで裁判まで起こしてしまっている。

とにもかくにも、プログレバンドというのはどのバンドもメンバー交代が非常にめまぐるしく、とても全てを覚えていることができない。

ここでイエスの主要メンバーについて簡単にふれておこう。

まずボーカルは、ジョン・アンダーソン、と覚えておく。「Drama」ではボーカルがバグルスのトレヴァー・ホーンに代わるが、それ以外は基本的にジョン・アンダーソンだから。というかイエスはジョン・アンダーソンの声あってのイエスだと個人的に思っているから、そう覚えざるを得ません。

ちなみに、別のプログレバンド、ジェスロ・タルのボーカル&フルート奏者にイアン・アンダーソンという人がいて名前が似ているので注意。

ギタリストはスティーブ・ハウと覚えておく(実際にはハウは3rdからの加入)。ベースはクリス・スクワイアで間違いない。ドラマーはもともとビル・ブラッフォード、後にアラン・ホワイトと覚えておく。キーボードはリック・ウェイクマンといいたいところだが、実は彼は「Fragile」「Close To The Edge」のあの黄金期を支えただけであって、他の多くのアルバムではトニー・ケイであるのでそちらを覚えた方がよいかもしれない。

細かいメンバーの移動などについてはこちら(→「橋本君の家」)に素晴らしくよくできたイエスの相関図があるので参照してください。俺もしょっちゅう見てます。

まだ聴いたことがないという人も、プログレの中でも一番とっつきやすいバンドだと思うので、このレビューをきっかけに、イエス・ワールドへの第一歩を踏み出していただけたらと思う。イチオシ。

メンバー

ヴォーカル ギター ベース ドラム キーボード
#1 ジョン・アンダーソン ピーター・バンクス クリス・スクワイア ビル・ブラッフォード トニー・ケイ
#2 スティーブ・ハウ
#3 リック・ウェイクマン
#4 アラン・ホワイト
#5 パトリック・モラーツ
#6 リック・ウェイクマン
#7 トレヴァー・ホーン ジェフ・ダウンズ
#8 ジョン・アンダーソン トレヴァー・ラヴィン トニー・ケイ
#9 トレヴァー・ラヴィン スティーブ・ハウ アラン・ホワイト ビル・ブラッフォード トニー・ケイ リック・ウェイクマン
#10 トレヴァー・ラヴィン アラン・ホワイト トニー・ケイ
#11 スティーブ・ハウ リック・ウェイクマン
#12 ビリー・シャーウッド
#13 ビリー・シャーウッド イゴール・コロシェフ
#14 リック・ウェイクマン

ディスコグラフィー

#1<オリジナルメンバー>
  • Yes [イエス・ファースト](1969)
  • Time And Word [時間と言葉](1970)
#2<ハウ加入>
  • The Yes Album [サード・アルバム](1971)
#3<ウェイクマン加入>
  • Fragile [こわれもの](1971)
  • Close To The Edge [危機](1972)
  • Yes Songs(1973)←ライブ版
#4<ブラッフォード脱退、アラン加入>
  • Tales From Topographic Oceans [海洋地形学の物語](1973)
#5<ウェイクマン脱退、モラーツ加入>
  • Relayer [リレイヤー](1974)
  • Yesterdays(1975)
#6<モラーツ脱退、ウェイクマン復帰>
  • Going For The One [究極](1977)
  • Tormato [トーマト](1978)
#7<アンダーソン、ウェイクマン脱退、バグルスの2人を吸収>
  • Drama [ドラマ](1980)
  • Yes Shows(1980)←ライブ版
#8<解散した後の、新生イエス>
  • 90125 [ロンリー・ハート](1982)
  • Classic Yes(1982)←ベスト版
  • 9012 Live The Solos(1985)←ライブ版
  • Big Generator [ビッグ・ジェネレイター](1987)
#9<その後…>
  • Union [結晶](1991)
  • Yes Years(1991)
#10
  • Symphonic Music Of Yes (1993)←オーケストラとの共演
  • Talk(1994)
#11
  • Keys To Ascencion(1996)←ライブ、他
  • Keys To Ascencion 2(1997)←上の続編
#12
  • Open Your Eyes(1997)
#13
  • The Ladder(1999)
#14
  • House of Yes(2000)←ライブ版
  • Magnification(2001)

もっと詳しく知るためのリンク集

管理人のオススメ曲

Roundabout (Fragile)

イエスの代表曲の一つであり、構成のとても面白い名曲。イントロのギターのハーモニクスを使った印象的なフレーズが、とても綺麗で耳に残る。

イエスの曲に共通するのは、ジョン・アンダーソンの歌声や曲のノリを妨げない考え抜かれた変拍子であろう。イエスの曲は、流して聴いているとそんなに拍が変な感じは全くしないが、よく聴くと変拍子になっていたりする。

あと、この曲もそうなのだが、途中でガラっと曲調を変わることが多い。しかしだいたいはまたもとのフレーズに戻ってくるのだ。これが素晴らしくきれいに行われるので、俺なんかは「すげぇなぁ」と思ってしまうわけだ。


Heart Of The Sunrise (Fragile)

俺がイエスの全曲の中で最高だと思う曲がこれだ。ベタかもしれないが、何度聴いても鳥肌がたつのである。とても格好良いメインのリフが形を変えて度々現れるところ、随所に現れる変拍子、綺麗なボーカル。まさに、これぞプログレ!!高度な音楽!!という感じがする一曲である。

本当に、11分間、全く抜け目のない、素晴らしい曲である。


Close To The Edge (Close To The Edge)

同名のアルバムの一曲目。というかこのアルバムは全3曲しかない。

アナログ時代だとA面1曲、B面2曲という恐ろしい構成だ。しかし・・・・・このアルバムがイエスの中でも最高のアルバムであることは間違いないだろう。23分という長い曲だが、緻密な計算のもとに作られたであろうこの曲は、その長さを全く感じさせることなく最後まで聴きとおせるほどの出来栄えである。23分といえば、ピンク・フロイドの最高傑作Atom Heart Mother も23分なのである。同じくピンク・フロイドのEchoes(Meddle)も23分。

この数字に隠された意味はあるのだろうか・・・と勘ぐってしまう。


Siberian Khatru (Close To The Edge)

しかし俺がこのアルバム中で一番好きな曲は、実はこちらの方である。シベリアン・カートゥル。カートゥルってなんなんでしょうね?辞書にも載っていなし…。

この曲もまたスティーブ・ハウのかっこいいギターリフから始まり、オルガンのメインリフが何度も出てくる。そしてギターとオルガンのユニゾンのあと、イエスが誇る美しいコーラスが…

他のプログレと一線を画しているのは、このコーラスにあるのかもしれない。キング・クリムゾンの代表曲とかも、すごくボーカルラインが好きだけど、これほどたくさんのコーラスはないもんなぁ。このコーラスの綺麗さは、どちらかというとクイーンとかジャーニーのようなバンドを想像させてくれるもの。


Sound Chaser (Relayer)

このリレイヤーというアルバムはウェイクマンが脱退した後に作られた。イエス・サウンドにとってウェイクマンは必須かと思われていたが、個人的にはこのアルバムもまた、非常にイエスらしくて好きである。

しかし・・・このサウンド・チェイサーという曲。もう、何がなんだかわけがわからん!でも、カッコイイ・・・。なんだこれは。こんなん真似出来ません。


Owner Of Lonely Heart (90125)

邦題のアルバム名はこの曲から来ている。新生イエスは大曲主義から少し離れ、ちょうどその頃の音楽シーンにマッチさせこの曲は全米No.1になった。

俺はイエスはこのアルバムから入ったので最初はピンとこなかったが、色々他のイエスを聞いてきた今なら、このアルバムを最初に手にしたイエスファンたちがとても驚いたであろうことを想像できる。


Changes (90125)

しかしこのアルバム、一つ一つは短い(イエスにしては)曲だけれども、すごくイエスがつまっているのである。

相変わらずリフはすごく考え込まれているし、その間にアンダーソンの歌声と綺麗なコーラス。よく聴かないと気づかない変拍子。ただ、今までのイエスがコンパクトに凝縮されてしまっている感じがするだけなのだ。

このチェンジーズという曲なんて、本当に「詰まって」いる。構造のよくわからない緻密なイントロから、メロディアスなサビ、コーラス。聴いていて「よくできた曲だなぁ」と思わずにいられないのである。


Our Song (90125)

このロンリーハートは捨て曲のない名盤だと個人的に思う。Changes〜Cinema〜 Leave It〜Our Songというこの流れがアルバムの中盤でもって全く飽きを感じさせない素晴らしい演出をしているのだ。

名盤って、ほんと、一度は作ってみたいものだ。一度で良いから。


Man In The Moon (Open Your Eyes)

もうここまでくると、イエスはプログレというジャンルにはまらないバンドになっている。90年だし。かなりポップである。なので、とにかくこのアルバムで一番好きな曲を紹介してみます。あ、あとタイトル曲のOpen Your Eyesも日本版のボーナストラックの方の編集は好き。

こっちは往年のイエスのような感じがまだ残ってる。


New Language (The Ladder)

俺、このアルバムがこんなに最近だなんて知らなかった・・・。というのは、この曲とあと前の2つ(FinallyとThe Messenger)がすごく好きで、危機の頃とは言わないまでもせめてロンリー・ハートより昔のイエスなんだろうな、と勘違いしていたからだ。

このラダーというアルバムを聴いていると俺はなんだか世界一周旅行でもしている気分になる。事実、いろんなテイストをもった曲がちりばめられていて、色んな国をめぐっているような気分になってしまうのだから仕方ない。しかしこのニュー・ランゲージ。すっごく好きだなぁ。


(2006.4.8 kota)

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