Queen / クイーン

バンド紹介

queen


クイーンは、いまや日本では有名すぎるほどのアーティストである。何年か前に「プライド」という木村拓哉主演のドラマで「I was born to love you(邦題:ボーン・トゥ・ラブ・ユー)」が主題歌に使われたことで、クイーンをリアルタイムで聴いたことの無い若年層にもその名前が知れ渡り、その後発売されたベスト盤「QUEEN JEWELS」が爆発的に売れたことが記憶に新しい。

クイーンは今までにも何枚ものベストを出しているが、なぜいまになってこれほどまでに大ヒットしたのか。それは思うに、ボーカル、フレディ・マーキュリーの歌声が、やはり現代でもアタマ一つ飛びぬけてすばらしいものであることが一つの理由にあげられるだろう。ほおがこけて、ダンディな髭をはやす“あの”顔からは想像もつかないような、とても美しくそして力強い歌声は、今でも数多くの歌い人に愛されつづけている。

しかしあのブームにのっかってクイーンを知った人たちは、いったいどこまで知っているのであろうか。まず、言っておきたいのはフレディがエイズで1991年に亡くなっているということ。先ほどあげた「ボーン・トゥ・ラブ・ユー」は、フレディの死後に発表された「made in heaven」という、まさにフレディの残した遺言ともいえるアルバムに収録されている曲なのである。しかし、もともとは1986年にでたフレディのソロのアルバムにこの曲は入っていて、それをフレディ亡き後に他のメンバーがアレンジしてこのアルバムに加えたということである。

バンドの成り立ちについて少し触れてみよう。クイーンの母体は、学生時代にブライアン・メイ(guitar)とロジャー・テイラー(drums)が組んでいた「スマイル」というバンドで、そのバンドのベースボーカルが脱退したのち、後任としてフレディが加入、ついでオーディションでジョン・ディーコン(bass)が加入しメンバーが固定した。

クイーンの特徴は、何度にも重ねたギターの音と、同じく幾重にもメンバーの声を重ねて作ったオペラ風のコーラスである。クイーンと言えば、「We Will Rock You」「We Are The Champions(邦題:伝説のチャンピオン)」などが広く有名であるが、僕がクイーンを聴いてもっとも影響を受けたのは「Bohemian Rhapsody」という曲で、この曲は“オペラとロックの融合”を見事に成し遂げた曲ということができる。ミュージシャンならば必聴の一曲と言えるだろう。

今でこそこれほどに評価されているクイーンだが、結成当初からうまく波に乗ったとは言えなかったようである。1973年、ファーストアルバム「Queen(邦題:戦慄の王女)」を発売するも、アメリカや母国イギリスではメディアの酷評にあったらしい。すでにレッド・ツェッペリンディープ・パープルといったオールド・ロックの時代を過ぎ、ニュー・ウェーブの嵐が吹き荒れていたイギリス。クイーンの音は「いまさら」と思われたのかもしれない。

結局2枚目を発売するもあまり評価は変わらず、そんな中クイーンは初来日するのであるが、これがクイーンにとって大きな転機になるとは思いもつかなかったのではないかと思う。

つまり、クイーンは日本では、爆発的に人気がでたのである!それこそ、ツェッペリンと肩を並べるほどに。

それで調子がでたのかどうかは知らないが、3枚目のアルバムからは「Killer Queen」がシングルカットされてヒットを飛ばし、先にあげたような「We Will Rock You」「We Are The Champions」なども世界的ヒットをたたきだすようになる。

そんなこんなで、実はクイーンは日本が大好きだったりする(笑)5枚目のアルバム、「A Day At The Races(邦題:華麗なるレース)」の中には、なんと日本語で歌われている「Teo Toriatte(手をとりあって)」という曲が入っているのである。フレディが微妙な訛りで「♪て〜を〜とーりーあ〜って このま〜まいーこう〜」なんて歌ってるんだから、思わず苦笑いしてしまう。でもこれも、すごくいい曲。

とにかく、最近でもミュージカル「We Will Rock You」の公演が大成功を収めたり、ポール・ロジャース(Free,Bad Companyなどのボーカルを務めた)を迎えて再結成ライブを行うなど、歳をとっても本当に精力的に活動している。ブームが再燃したことによって、クイーンが多くの人に知ってもらえたことを僕はとてもうれしく思っている。大好きなバンドだから。

メンバー

ヴォーカル ギター ベース ドラム
フレディ・マーキュリー ブライアン・メイ ジョン・ディーコン ロジャー・テイラー

ディスコグラフィー

  • Queen [戦慄の王女](1973)
  • QueenII [クイーンII](1974)
  • Sheer Heart Attack [シアー・ハート・アタック](1974)
  • A Night at the Opera [オペラ座の夜](1975)
  • A Day at the Races [華麗なるレース](1976)
  • News of the World [世界に捧ぐ](1977)
  • Jazz [ジャズ](1978)
  • Live Killers [ライブ・キラーズ](1979)←ライブ版
  • The Game [ザ・ゲーム](1980)
  • Flash Gordon [フラッシュ・ゴードン](1980)←同名映画のサントラ
  • Hot Space [ホット・スペース](1982)
  • The Works [ザ・ワークス](1984)
  • A Kind of Magic [カインド・オブ・マジック](1986)
  • Live Magic [ライブ・マジック](1986)←ライブ版
  • The Miracle [ザ・ミラクル](1989)
  • Innuendo [イニュエンドゥ](1991)
  • Live at Wembley '86 [クイーン・ライブ!!ウェンブリー1986](1992)←ライブ版
  • Made In Heaven [メイド・イン・ヘヴン](1995)
  • Queen On Fire - Live at the Bowl (2004)←ライブ版
  • Return of the Champions (2005)←Vo.ポール・ロジャース
  • 以下、コンピレーション・アルバム
  • Greatest Hits (1981)
  • Queen at the Beeb [女王凱旋](1989)
  • Greatest Hits, Vol.II (1991)
  • Classic Queen (1992)
  • Queen Rocks (1997)
  • The Crown Jewels (1998)
  • Greatest Hits III (1999)
  • Platinum Collection, Vols,1-3 (2000)
  • Queen Jewels (2004)
  • Queen Jewels II (2005)

もっと詳しく知るためのリンク集

管理人のオススメ曲

Bohemian Rhapsody (A Night At The Opera)

今回は、クイーンのアルバムを一枚ずつ最初から紹介していくのではなく、俺が影響を受けた曲を縦横無尽に紹介していきたいと思う。

冒頭でも触れたように、一番衝撃を受け、なおかつ一番クイーンのイメージとして俺の頭に染み付いているのがこの「ボヘミアン・ラプソディ」である。

アルバムタイトルが「オペラ座の夜」となっているが、まさにこの曲はオペラとロックを融合させた世紀の名曲として有名で、曲の一番最初からメンバーによる美しいアカペラでの和声が響き渡る。

続いてピアノでのバラード調のコーラスとなるのだが、フレディの独唱になったところ、英語に慣れていない俺の耳にも、「Mama, I Just Kill The Man」という文章だけは聴き取れる。イントロの歌詞を訳すとだいたい以下のような感じだと思う。

  • ママ、たった今、人を殺してしまった
  • 奴の頭に銃口を向けて
  • 引き金をグイと引いたら奴は死んだ
  • ママ、やっと始まったばかりの人生を
  • 僕はこんなに簡単に捨ててしまった

なんとも唐突な歌詞である。英語が苦手な俺には曲の全てを訳すことが出来ないが、その世界観について簡単に説明できる人がいたら、ぜひ教えてほしい。

曲はその後バンドサウンドへと進んでいくのだが、それは壮大なオペラサウンドへの幕開けでもある。ブライアン・メイの澄み渡るギターソロが終わると、雰囲気は一転、声と声が掛け合い混じりあうようになる。まるで4人だけで歌っているとは思えない。

しかしそれもそのはず、それは百数十回に渡って何度も何度もオーヴァー・ダビング(多重録音)することによって作り出されたコーラスなのである。そのため、優美さと荘厳さをかけもっているといえるような音の厚みを持った「美しさ」がそこには表現されているのである。

オペラが終わるとその次はハードロックサウンドが待ち構えている。クイーンらしいロックサウンドが奏でられると最後はまたピアノ重視のバラード調の雰囲気を残しつつ、静かに曲が終わっていくのである。

それにしても、凄い曲である。「凄い」としか言えない自分が情けないが、こんなとんでもない曲構成、コンセプトで、これほど完成度の高い楽曲を作り上げるあたりに、まさにクイーンの凄さが表れていると感じるのである。

後もう一つ情報を付け加えるとすれば、この曲ではプロモーション・ビデオがしっかりと製作されたこと。見てみるとわかるが非常に気持ち悪い(笑)メンバーの顔のドアップが重なったりぐるぐる回ったりする。しかし、その頃プロモーション・ビデオに凝ると言うこと自体がまだメジャーではなかった時代だったことから、このビデオが話題を呼んだことは事実だ。


We Will Rock You (News Of The World)

アンディ・フグの入場曲であったこともあり、本当に有名すぎる曲。リズムは「ドン・ドン・タッ」のみ。誰でも覚えられるサビで、合唱するとなぜか気合が入る。そのため応援歌としてもよく使われるのではないだろうか。

この曲のプロモーション・ビデオではメンバーがしっかりした防寒具に身を包み、なぜか雪山でこの曲を合唱している。そしてドラムセットが一台真ん中に用意されているのだが、「ドン・ドン・タッ」の「ドン・ドン」の部分は確か、フレディがマイクをバスドラの表面(ドラマーの方ではなく普段客に見えている方)に叩きつけていたはずである。

両足と手(クラップ)を使えば、すぐにそれがウィー・ウィル・ロック・ユーのフレーズだと相手に伝わる。シンプルって、いいねぇ。


We Are The Champions (News Of The World)

邦題:伝説のチャンピオン。「世界に捧ぐ」のアルバムからは、ウィー・ウィル・ロックユーとこのウィー・アー・ザ・チャンピオンズが飛びぬけて有名だ。

とても有名なこの曲だが、実は凄く短い曲。全く凝った構成にはなっておらず、メロ→サビ→メロ→サビ→サビ、で終わり。

ボヘミアン・ラプソディーのような構成の難しい曲を作る一方、本当にシンプルで印象深く刻まれる名曲を作るのもまた、クイーンの魅力だと思うのだ。


Bicycle Race (Jazz)

I want to ride my bicycle〜と歌い上げ、あまりにバイシクルと言うので思わず笑ってしまうような曲だが、サビでのコーラスの迫りくる感じやノリの良さ、また中盤でのホンモノの自転車のベルをたくさん鳴らすといったお茶目な演出など、これも俺が非常に大好きな曲だ。


Don't Stop Me Now (Jazz)

クイーンの曲と言うのは、本当に日本ではしょっちゅういろんなところでかかっているため、聴きなじみのある曲が非常に多いと思う。たぶん、この曲も多くの方が聴いたことある!と感じる曲ではないだろうか。

曲名どおりのスピード感のある曲に仕上がっているが、本当にフレディはピアノをボーカルと全く独立させて自由に弾くことが出来ているので凄いと思う。

中盤のドラムフレーズ、「ドン・タン・ドドタド・ドドタド・ドドタド・・・・」というところは初心者あがりのドラマーには足の3連打となるのでつらいフレーズ。俺は大学1年のときに泣きそうになりながら練習してました(笑)


You're My Best Friend (A Night At The Opera)

ディーコンの作った、涙を誘うようなロックナンバー。君が最高の友達さ、なんてクサイことも優しく違和感なく歌い上げるフレディの声の奥深さに感動する。


Another One Bites The Dust (The Game)

これもディーコンが作った曲だが、とにかくベースフレーズがカッコイイ曲。半音下げチューニングで作られていて重厚感もあるドッシリとした曲で、80年代を非常に彷彿とさせる。


Flash (Flash Gordon)

これも聴きなじみのある人がいるかもしれない。フラッシュ・ゴードンというB級(C級?!)SF映画のサウンドをクイーンが手がけることになり、その中で表題曲となったのがこの曲なのだろう。

「フラッシュ!ア〜ア〜〜!!」というわかりやすいフレーズの繰り返しと、無線で誰かが通信でもしているような音が入ってくるのだが、これは本当に映画で使われているセリフそのもののようで、一度フラッシュ・ゴードンをテレビで見た時に、「Fire!」と叫んでるところで宇宙船からビームが発射して何かを壊していたのを見て「なるほど、これだったのか!」と納得した覚えがある。

その映画自体はSF好きな俺としては、妙に変なところで楽しめる映画だったような・・・どんなんだったかな。。。記憶に残らないような感じだ!(笑)


I Was Born To Love You (Made In Heaven)

まぁ、この曲を紹介しとかないとダメですよね。キムタク主演の「プライド」で主題歌に起用され、クイーンブームを再燃させたきっかけとなった曲がこれなんですが、、、みなさん、もちろん知ってますよね?

フレディの言うその「You」は、異性ではなく、フレディの彼氏のことですよ。。。という、まぁ裏話にもならないような話ね。

でも、いい曲ですよね、コレ。すっごくキャッチーだし。

俺が3年生の時の学園祭でのサークル合同ライブで、ファイナルとしてこの曲を演奏したので、俺の中ではよりいっそう思い出深い曲となっています。


Father To Son (Queen II)

とまぁ、こんな感じで本当に縦横無尽に(というか、波茶目茶に)曲を紹介してきたのですが、クイーンの曲は良い曲が多く紹介したい曲はまだまだあります。

「Brighten Rock (Sheer Heart Attack)」「Now I'm Here (Sheer Heart Attack)」「Tie Your Mother Down (A Day At The Races)」「Somebody To Love (A Day At The Races)」「Radio Ga Ga (The Works)」なども本当に俺が好きな曲です。

まぁ、最近発売したベストを買えば、今まで紹介してきたようなものは全て入っているでしょう。ということで最後に紹介するのは、クイーンIIから、ファザー・トゥ・サン(邦題:父より子へ)です。

クイーンIIのアルバムは、クイーンの中でも特にコンセプトアルバムを意識させるかのような作りで、1曲目「Procession」ではフレディの心臓の音をサンプリングして使用しているといった技巧も凝らされているらしい。

その2曲目を飾るこの曲は、アルバムの幕開けと共に、バンドの特徴が固まってきたクイーンの開花をも感じさせる1曲である気がする。

伸びやかなフレディのボーカル、音の厚いコーラス、ブライアン・メイの素晴らしく格好よいギターソロにジョン・ディーコンの歌うベースライン、そしてロジャー・テイラーのシンプルかつハードな考え抜かれたドラムパターン。いつまでも聴いていたくなるような心地よいロックサウンド。

俺はクイーンが大好きである。


(2006.4.18 kota)

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